2024/01/15

by 明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。フロントスタッフの櫻井です。

今年度もよろしくお願い致します。

今年の抱負としては、とにかく内定を勝ち取りたいです。

年明け最初の投稿になりますが、以前より少し言わせていただいていた、短編小説の準備がようやくできましたので、こちらを今回の内容にさせていただきたく思います。

 

その前に、私が普段どのような作品を書いているかについて、少し話させていただきます。

私が大学にて研究・作成をしている物としては『ライト文芸』、『ライトノベル小説』などと呼ばれる現代小説になります。これらは、セリフを多く取り入れ、読み手に情景描写をアニメーションや漫画の様に思い起させる文章が特徴となります。そういった作品を、普段は書いており、今回もそのような作品を作らせていただきました。

よろしければ、読んでいただけると幸いです。

 

タイトル『キミにトドケ』

 

知りたくて、知りたくない、きっと、このままでいい。

そう、秘めた想いを心に抱え、早一年。

私は、明日、人生で一番の勇気を振り絞る。

はずだった。

「やっぱり、無理だな……」

小学生の頃より使っている勉強机に突っ伏し、私は乙女にあるまじき呻き声を上げる。机の上に散らばる様に置かれた便箋は、この前買ってきた、少し少女らしさを残した可愛らしくも、簡素な物。その全てに、同じ人の名前が書かれていた。私は、どうにか起き上がると、投げ出していたシャーペンを手にする。

「でも、頑張るって決めたんだし」

どうにか手を動かし、手紙をしたためる。己の心に隠した、あの人に対する絶対的な想い。口にするだけで、思わず頬が赤くなり、数時間後には羞恥で転げ回ってしまうような、甘酸っぱくも、だいぶ恥ずかしい恋心。図体ばかり大きくなっても、いくじなしの心は全く成長していない事も感じ、少しぐさりと心に突き刺さったのは、内緒である。

何度も手が止まり、その度に消しゴミを走らせ、遂には便箋が破ける。それでも、どうしてもその答えが見つからない。

「勉強みたいに簡単だったらよかったのに……」

覚えてきた数式や歴史の様に、答えがあれば良いのにと、何度も思った。でも、この想いに答えはなく、日々肥大化するこの気持ちを、いつしか無視できなくなっているのも事実である。新しく取り出した便箋に、今度は筆が乗り言葉をしたためていくが……。

「やっぱ無理―⁉」

思わず感じてしまった羞恥心に打ち勝てず、シャーペンを投げてしまう。そのまま、近くのベッドへと歩き、そのまま飛び込み頭を抱える。

「ホント……どうしちゃったんだろう」

この想いの答えを、そう思うたびにこうなってしまい、早数日。未だ、あの人に渡す手紙は完成しない。

それでも、どうしても。

「どうしようもないくらい、好きなのは分かっているのに……」

逃げる様に、スマホを手に取り、その指で音楽アプリを開く。ベッドサイドに無造作に置いていたイヤホンに手を取り、そのまま耳に押し込む。

流す曲は『キミにトドケ』。今の私の様な、臆病な女の子が、ほんの少しの勇気を振り絞って想いを伝える曲。それを聞いて、私は起き上がると、もう一度机に向き合う。

そのまま、曲の歌詞の様に、想いをつづる。

「私らしくありたい、キミにときめいていたい……」

歌詞のフレーズを、口ずさむ様に呟き、筆を振るう。例え、これがほんのほんのカケラであったとしても、この想いがアナタに届くように。

私にとってとても長い時間、手紙に向き合っていたつもりだが、便箋が文字だらけになり、時計を見えると、まだ数分しかたっていなかった。手紙の内容を振り返る様に読み返すと、拙いながらも、「キミのせいだ」と言いたい、私の心のヒミツに気がついて欲しい、そんな満足のいく内容になっていた。

イヤホンの中に聞こえる曲が、終盤を奏でる。

『ねぇ、なんでこんなに    想ってても言えないや。悩ましいね、あーあ』

曲の最後、そのフレーズが今の私に思えて来て、また顔が熱くなる。それでも、と己を叱咤し、便箋と一緒に買った封筒へと仕舞い、シールで止める。

最後に、封筒の中央に、先輩へと、簡素に書いて、私は思わず止めていた息を吐きだした。

「……いよいよ明日。頑張れ、私」

呟く言葉は、先ほどまでの内気な物ではなく、なけなしの勇気を振り絞った、己への激励。

「ラクガキして消した、愛のフレーズが、きっと届きます様に」

曲のフレーズを口にして、私は手紙を通学鞄に大切にしまう。後は、明日の朝、あの人に渡すだけだ。

私は部屋の電気を消すと、そのままベッドへと潜り込んだ。後は寝て、明日を待つだけだ。

最後に、もう一度と曲のリピートボタンへと指を伸ばした。

 

 

といった感じで、今回は終わりたいと思います。次回は、また何か書ける内容を探してみたいと思います。

次回も読んでいただけると幸いです。