2013/06/06

by プロ野球ニュース

セ・リーグ順位

1位 巨人   31  21  3  -
2位 阪神   31  22  2  0.5
3位 DeNA 23  32  0  9
4位 中日   23  33  0  0.5
5位 ヤクルト 22  32  1  0
6位 広島   21  31  1  0


◇交流戦 巨人4-1日本ハム(2013年6月5日 東京D)

不屈のガッツがミスターを超えた。巨人の小笠原道大内野手(39)が5日の

日本ハム戦で、同点の延長11回に自身初となる今季1号の代打サヨナラ3ランを

放った。最近2年間は不振と故障に苦しみ、今季も開幕2軍スタートだったが、

2年ぶりのアーチで復活をアピール。39歳7カ月でのサヨナラアーチは、

1973年の長嶋茂雄がマークした37歳4カ月を抜く球団最年長記録となった。

どうだ、とばかりに小笠原はバットを放り投げ、打球の行方をゆっくり見やった。

熱狂の右翼席へ白球が吸い込まれていく。サヨナラだ。延長11回無死二、三塁で

代打登場。フルカウントから、増井の149キロをぶっこ抜いた。11年8月19日

のヤクルト戦(東京ドーム)以来の本塁打が、熱戦に終止符を打った。

「打った瞬間は入ったかは分からないけど、外野フライにはなると思ったので。

勝ったな、と。やっぱり気持ちいいですね。思い出しました」

涙はないが、感無量だった。サヨナラ本塁打は3年ぶり3本目。

39歳7カ月でのサヨナラ弾は、長嶋の37歳4カ月を抜き球団史上最年長記録と

なった。2年連続の大不振で昨オフには球界最高額となる3億6000万円の減俸を

のみ、年俸7000万円で契約。キャンプは2軍スタートで、折れたバットで

左手人さし指を15針縫った。昇格は5月18日。右手小指骨折だったボウカーが

復帰し、DH制のない交流戦明けは1軍の保証もない。

統一球導入後の2年間、どん底で苦しんだ小笠原は初めて変化を求めた。

軸足に体重を置いて球を引きつけていた打撃を、ステップして投手寄りで

捉えるようにした。遠心力を意識し、フリー打撃では試合用より10センチも長い

97センチの長尺バットを使用。素手での打撃練習にこだわりを持っていたが、

裂傷後は打撃グローブを着用した。三塁ベースを回ると珍しくガッツポーズも出た。

苦しかった2年間だが「(気持ちの落ち込みは)ないに等しい。やるべきことは

決まっていた。いつか必ずチャンスはあると信じていた」。愚直な信念は

不変だった。2軍でもがき苦しんできたベテランを見てきた荒井2軍打撃コーチも

「泣かなかったのならば、まだ火は消えていないね」と喜んだ。

敬遠策も考えられた。原監督はそれも想定し、切り札・石井はベンチに残して

小笠原を起用した。「残念ながら2人の役割という点では、まだ石井の方が上」と

説明した。小笠原も心得ている。「たった1本打っただけ。あすまた仕事が

できるように」。歓喜を押し込むように、鋭い視線で完全復活の時を見据えた。

以上 スポニチから木村でした。