テニスってすごい!

『テニスでストレスに克つ』 鈴木 伸一 博士(人間科学)

些細なことでもイライラする,やる気や元気が出ない,病気でもないのに倦怠感が続く・・ストレスがたまるとこのような症状が現れることがあります。こんなとき「休日はゴロゴロ過ごす」というパターンになっていませんか.しかしそういうときに限って「ゆっくり休んだはずなのに元気が出ない」こともあるのではないでしょうか。 日々の緊張感や慢性的なストレスは,私たちの心や身体を疲弊させます.また,慢性ストレスは心や身体の調節機能(自律神経や免疫機能)にも悪い影響を及ぼすため,私たちの心や身体は,疲れているはずなのにうまく休まらない状態になってしまいます。
このようなストレス状態を解消するためには,①だらだらと休むのではなく,適度な運動(アクチベーション)を取り入れることにより,心地よい疲労感を得て,心や身体が休息しやすい状態(リラクセーション)をつくっていく,②ストレスとなっている事柄(仕事や悩み)から心を一時的にでも切り離す,③小さな喜びや達成感を生活の中に増やす,ことが大切です。
テニスは,このような要素を兼ね備えているスポーツといえます.テニスは,楽しみながら適度な身体運動を促し,心地よい疲労感を得ることができるスポーツであることは言うまでもありませんが,「球を追う」「対戦する」などの双方向的活動は,ジョギングやジムトレーニングなどに比べて熱中しやすく,気になっている「仕事や悩み」などからも心を解き放つのを助けてくれます。また,プレーの上達や対戦での勝利などは,「やった」「うれしい」「できた」というポジティブなフィードバックを私たちに与えてくれます。ストレスの多い生活においては,「小さな喜びや達成感を増やす」といってもなかなかできるものではありません.しかし,テニスはそのような元気の源を楽しみながら私たちに提供してくれるのです。
 忙しい毎日の中では「わざわざテニスをするのも面倒だ」と思いがちですが,そのようなときこそ「楽しく疲れる」「夢中になる」「小さな喜びを得る」といった要素がたくさんつまったテニスに取り組むことで,ストレスに強い心と身体を創る必要があるのかもしれません。

鈴木伸一博士、ご協力ありがとうございました。

『テニスで脳を活かす』 上田 一貴 博士(学術)

最近,計算や読み書きをすることで脳を活性化させ,脳を鍛えるということが流行っています.これは,脳をいつまでも若々しく健康に保ち,より快適な生活を送りたいという願いを反映したものでしょう。
脳を活性化させる方法はいろいろありますが,スポーツもその一つです。例えば,テニスをしている時の一連の流れを想像してみてください。
① まず,ボールを目でとらえる(インプット)。
② 次に,そのボールをフォアハンドで打とうかバックハンドで打とうか,ネットに近ければボレー,少し高めのボールが来たら思い切ってスマッシュしてみようなど,打ち方を瞬時に判断する。
③ そして,実際にボールを打つ(アウトプット)。
通常,私たちが意識することはありませんが,このような視覚的なインプットから,運動のアウトプットまでの処理は脳によって行われています.さらに脳は,相手の動きからボールの球筋を予測して,次の動きを準備するということも行っています.試合中ともなれば,これらの一連の協調的な処理が連続して行われるわけですから,数あるスポーツの中でもテニスは脳を活性化させるにはうってつけのものだと言えるでしょう。
また,皆さんはテニスをしていて,ラリーが長く続いた時や,スマッシュが上手く決まった時の爽快感を経験したことがあると思います。このような時,脳内ではドーパミンという物質が放出されています。ドーパミンは,うれしい時や楽しい時に放出され,やる気を向上させたり学習を促進させたりと脳に良い作用を及ぼします.テニスを楽しみながらやることは,脳にとっても良いことだと言えるのです。無理をせずに自分のペースでプレイすることや,練習でもフォアハンド,バックハンド,ボレー,スマッシュ,サーブなどをバランスよく,いろんなパターンを組み合わせることによって,途中で飽きることなくテニスを楽しみながら続けることができ,脳の活性化にも良い効果が期待できます。

上田一貴博士、ご協力ありがとうございました。